トリビアの花園

6 ・  沖縄には他の植物を絞め殺して生きていく恐ろしい植物がある。

その植物は実際「絞め殺しの植物」と呼ばれ、街路樹として植えられていたりします。
一般的にはガジュマルなどに代表されるFicus(イチジク属)の仲間です。街路樹はともかく、西表島などのジャングルの中ではこのガジュマルが他の植物にからみついて近い将来その植物を覆いつくすことが想像されるような光景を見ることがあります。まさに「生命力」を感じる瞬間です。

<名護市の「ひんぷんガジュマル」>
ガジュマルはそれが生きていくすべなのですから、特に悪者扱いをするのはかわいそう。つる性植物の性質はそういう意味では、自分が生きていくには仕方の無い行為なのです。

私達が山歩きをしていて、大木に巻きついた「フジ」などが切られているのを見たことがありませんか?誰かがその大木を助けてやった気持ちでいるのか知りませんが、フジはそこで命を絶たれてしまいます。私達は山に入り「自然」を観察させてもらっていますが、「自然」の仕組みを変える権利はありません。フジが他の木に巻きつくのも「自然」の成り行きなのです。世の中の「自然観察会」の団体の中には、平気でつる性植物をナタで切っている講師がいるそうです。あきれて声も出ません。まず、よほどの事が無い限り本土のつる性植物が他の植物を絞め殺すことはありません。

<庭の植栽樹にからみついたガジュマル>
ガジュマル(クワ科イチジク属)はどうやってこの木にからみついたのでしょう。普通植物は土から生えた芽が成長し、根をはり大きくなっていずれは大木になります。しかしガジュマルはどうやら地面から成長をはじめるのではなさそうです。
これは私の自分なりの研究ですが・・・・
ガジュマルの実はイチジクです、これを好むのは沖縄の夕暮れの空を支配するオオコウモリたち。彼らを介して種子が他の植物の幹のくぼみなどに引っかかります。ガジュマルはそこから気根を垂らし、自身もその木にからみついていきます。アカギなどが良く標的にされているようです。
アカギも黙っていませんよ。樹肌をはがしながらつる性植物のからみつくのを防いでいます。暖地性の植物にはカゴノキなどそんな特性を持った植物が多くあります。

<ガジュマルの葉と果嚢>
そんな攻撃的な植物であるガジュマルですが、けっこう街路樹として植えられている事に驚き、また嬉しくなります。ガジュマルのうっそうとした森の中は沖縄のおとぎばなしに出てくる「キジムナー」が住んでいても不思議ではありませんから。キジムナーたちの住処を将来に渡って残してやりたいものです。